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第103話 粉砕された虚栄と、凍てつく靴音①

Author: 花柳響
last update publish date: 2026-04-30 06:00:18

 鼓膜を容赦なく突き破る、爆発のような破砕音。

 壁一面を覆っていた分厚い強化ガラスが、内側から凄まじい圧力を受けたかのように、一斉に外側へ向かって弾け飛んだ。

 キラキラと、頭上のシャンデリアの光を乱反射しながら、無数の鋭利な破片がリビングの空気を切り裂く。

 バラバラバラッ、と、硬質な氷の雨が降るような凄惨な音が、密室だった空間に幾重にも反響する。

 それまで部屋をねっとりと満たしていた、継母と麻里亜のむせ返るような百合の香水。そして父の吐き出すウイスキーの饐えた匂い。

 私を十九年間も窒息させ続けてきたその不浄な空気が、一瞬にして、夜の闇へと吹き飛ばされた。

 代わりに流れ込んできたのは、肌を刺すような夜の雨の匂いと――肺の奥の水分まで一瞬で凍りつかせるような、圧倒的な質量の「冷たさ」だった。

 吹き抜けになった窓枠の向こう。

 漆黒の夜闇と、横殴りの激しい雨を背にして、一つの影が立っていた。

 黎様だ。

 雨水をたっぷりと吸い込み、重くなったダークスーツが、彼の大きな身体に
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